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はてさて

 
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| その他 | 22:20 | comments(0) | - |

04 雨に閉じ込められて

 


梅雨お題その4




「何かあったら、遠慮なく言ってね」

 

勇気をだしてなんとかそう紡いだ言葉も、「ありがとう」と言った川見君の笑顔をうわ滑りしていくだけで終わった。

私は川見君が好きだけど、川見君にとって私は友人といえるかも怪しい程度のクラスメイトで、助けになりたいと願っていても特に頼りがいがあるわけでもない。

何もできないんだと、突きつけられた気がした。

 



 

 

雨に閉じ込められて

 



 

  

ばしゃばしゃと雨どいから落ちた雨水がコンクリートを叩いている。外からは雨の音。
教室では学祭のための装飾を作るために生徒たちが残って騒いでいた。廊下からは、グラウンドの使えない運動部が筋トレする声もしている。

その挟間で、私は窓際のイスに座って開け放した窓の枠にぐったりともたれかかった。

やる気がでない。もうなにもする気がしない。

「なに死んでんの」

「つんちゃん…」

つんちゃんは窓際にやってくると、「眼鏡が曇る」と煩わしげに眉を顰めた。

「最近元気ないよね」

「んー…ちょっと自己けんお、で…」

晴佳じゃなくて川見」

「!!」

私は思わず飛び上がった。
なんで急に、とつんちゃんを見上げるとつんちゃんは馬鹿にしたように私を見下ろす。

「そのせいだって、バレバレ」

…はい、自覚はしています。

つんちゃんは私の前の席に座って、私の目の前に段ボールで切られた大きな『2』の字を置く。

「手伝いなさい」

ぽんと水色のポスタカラーを手渡された。そういえば、看板係だったなぁと私は思い出して、きゅぽんとキャップを開けた。出の悪いインクでがしがしと段ボールを染めていく。

私と向かい合わせで、つんちゃんはビラの下書きをしていた。

「川見、今描いてる絵は文化祭に出さないみたい」

「そう、なんだ」

「前に描いたのがあるから、特に問題はないけど」

「ん…」

つんちゃんは川見君と同じ美術部に所属している。けれどもつんちゃんはどちらかというと兼部している漫研の方に力を入れていて、部内でも真面目に美術をやっている人と趣味で絵を描いている人とはなんとなく空気が違うのだそうだ。

川見君は、真面目に部活をやっている方。美大目指すんだと思うよ、とつんちゃんは言っていた。

「川見って絵描くの本当好きでさ」

さっと鉛筆を動かしながらつんちゃんが言う。

「いつも途切れなくなにかを描いてるんだよね。休みなく、一枚書きあげたら次、それを描きあげたらまた次の構図って。それも手抜きなんかじゃなくて、どれも丁寧に描いてる」

「そうなんだ…」

なんとなく納得できる気がした。川見君は絵が大好きで、それでいてすごく几帳面だ。たぶん、どの絵もその時の精一杯を注ぎ込んでいるんだろうな。

ちょっと絵がうらやましい、と思ってしまう。

「だから、あんな風に描きかけの絵を放っておくなんてよっぽどなんだろうと思うよ」

つんちゃんの言葉に私は胸がぎゅっと痛くなった。

きっと、川見君は今すごく苦しんでいる。ずっと見てきたからわかるんだ。

 

つんと鼻の奥が痛くなる。ああ、泣きそう。

誰かのためにこんな風に苦しくなったり泣きたくなったりするなんて初めてだ。これが恋じゃないなら、いったい何が恋なんだろう。

「私、何かできないかなぁ」

私が小さい声で尋ねると、つんちゃんは笑って「がんばれ」と言っただけだった。
すぐに耳を塞ぐ、ざあざあという雨の音。





------------------------
予定とか全無視になってしまった。
あと1話でまとまる気がしません。

| 御題作品 | 23:34 | comments(0) | - |

大洪水


梅雨お題#05その2




あれ?

 

おかしい、と思った。キャンバスに乗せた色が想定していた色とまったく違う。慌てて色を作り直す。何をしてるんだろう。再び筆で描こうとしたその色も、また違う。なんで。濁ったその色はキャンパスの上で忌々しい不自然さを放っている。どうして。やり直す。何度も。何度も。紫陽花の花がどす黒く染まっていった。青空もそこにはない。混沌。「どうして」呟く。ひたすらに絵の具を弄る。「なんで、こんな」

はた、と手が止まった。気付いた。自分には、絵がかけないということ。

心臓がぐちゃぐちゃになった。

 

外は土砂降り。



 

 

大洪水

 



 

 

今までも、突然描けなくなったことはある。

知っているはずの言葉が思い出せず喉で詰まってしまうように、何度描いても自分で思ったのと違うものになってしまうのだ。そういうときは大抵ひたすら描くことで乗り越えていた。納得いくまで何枚も何枚も、デッサンをしてみたり油絵だけでなく水彩に手を出したりと枚数を重ねていく。そうしている内に自然に筆が乗るようになるものだ。これまでは、そうだった。

だから今回も同様に絵を描いた。

自分で気に入らない絵というのは恥ずかしい事この上なくて、頭の中で思ったように表現できないというのはひどく苦しいことだったが、これを乗り越えればまた描けるようになると考えれば我慢もできた。そうして数日がたったが、起こったのはまったく逆の事態だった。


キャンパスの前に立っても、描きたいものが思いつかない。
ただその白さが目に焼きついて、頭のなかまで真っ白にしてしまった。



 

 

全く描けなくなってから数日がたった頃に、教室で水野さんに声をかけられた。がやがやと煩い休み時間の教室で、水野さんの声は大き過ぎも小さすぎもせず、ただ心配するような響きを含んでいた。

「川見君、だいじょうぶ?」

「ええ?」

唐突な問いかけに驚いて見返す。

「えっと、何が?」

「うん、ええと…なんだろう」

水野さんが困った顔をした。聞かれても、こちらとしても返すことがない。

水野さんは頭のなかから慎重に言葉を探し出すように、ゆっくり口を開いた。

「美術部の友達から、最近川見君が部室来てないって聞いたの。文化祭に出す絵も途中だってきいたし。それで、どうかしたのかなって」

「ああ、うん」

描けないから、とは言いづらく曖昧に濁す。水野さんは控えめに首を傾げたけれど、それで納得した様子はないようだった。

「なんだか、最近元気もないみたいだから…」

「そうかな、」

「うん…」

「……」

「……」
気まずい沈黙。できれば喋りたくないとの意志表示のつもりだったが水野さんにしては珍しく、やけに頑なにその場にじっと立っていた。


 

絵が描けないことも、調子が悪い原因も、なんとなく自分では分かっていた。


あの日、じとじとと湿気のこもる美術室で。
いつもの通りに放課後そこへ足を踏み入れると、道具を片付ける先輩の後姿を見つけたのだ。

最近姿を見せていなかった先輩が居ただけでなく、掃除なんて珍しいことをしていることに驚いた。

「何してるんですか」

思わずあげた声は先輩に対するものとしてはあまりに不躾だったが、振り返った先輩は一瞬驚いた顔をしただけですぐに笑顔を見せた。

「片付けようと思って」

「片付けって…」

「美術室に私物置きすぎちゃったからさ。あ、川見これいる?」

差し出されたのは箱に入った先輩の絵の具だった。使われてはいるもののまだどのチューブも半分以上残っている。衝撃にすぐに言葉がでなかった。

「何言ってるんですか、まだ使えるのに」

「使えないものあげないよ。使わないからあげるの」

先輩はスケッチブックを乱雑にトートバックに突っ込んで苦笑した。

「美大諦めることにしたから。もう、いらないの」

頭の中が真っ白になった。


もともと美大を受験することに、家族が難色を示していたらしいことは知っていた。

けれど先輩はひとつ上の代では一番絵が上手かったし、美大進学に力をいれていない、お遊びのような美術部のなかで本気で絵の世界を目指している数少ない部員のひとりだった。

部活を休んでいた間にいったい何があったのかわからない。すっきりとした先輩の顔を見れば先輩なりの覚悟の形であることも想像できる。

けれども、裏切られた気がしてならなかった。
勝手だと言われてもいい。
自分にとって先輩の後姿は、目指すべき未来の自分の姿だったのだ。


 

先輩は、使い古した筆をゴミ箱に捨てた。

その瞬間に、「お前の夢は叶わない」と言われた気がした。



-------------------

梅雨…?うん、まぁ、いいか。
先輩には先輩のストーリーがあるんだと思います。

| 御題作品 | 23:00 | comments(0) | - |

春が告げられて

ショートショート

生理的に受け付けないひとがいるかも
身体に蟲がわいた

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| 小説 | 20:08 | comments(0) | trackbacks(0) |

ベートーベン ピアノソナタ14番

学園モノ
はじまりの話

追記に収納
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| 小説 | 21:59 | comments(1) | trackbacks(0) |

嘘の吐けない道化者


-----嘘の吐けない道化者-------


何故?如何して?
訊かれたので答えた。
「面倒くさい、からかなぁ」
ばちん、と痛々しい音が耳の中に響いた。いや、耳の中だけでなくおそらくこのカフェテラス中に響いたんだろう。遅れてじわじわと頬が熱を持ってくる。張られた左頬は放っておいて右目の眼帯に触れた。ずれてはいない。
向かいの席の恋人――否。元・恋人を見ると誰に殴られたわけでもないのに真っ赤になっていた。頬も、耳も、目も。
「サイッテー」
重々承知です。俺が目を伏せると、彼女はコートとバックを引っつかんでカフェを出て行った。
突然の出来事に呆気に取られて固まっていた店員と客は、やがてぎこちなくそれぞれの生活に戻っていった。あたかも何も見なかったかのような態度を貫き通す彼らに俺は密かに感心した。俺に足りないのはそのスキルだと思う。
冷めない内にカプチーノを飲んでしまおうとしたが、持ち上げたカップに綺麗にデコレイトされた赤い爪が浮いているのを見てその気も失せた。ていうかこわっ。一瞬生爪かと思った。
カツン、と音を立ててカップを置くと、傍らからなんとも耳障りのいい声。
「冷やさないとダメですよ」
体温の低い手が頬に触れた。ひやり。
傍らで立つ長身の男を見上げ、誰かを確認すると自然と眉間に皺がよる。
「何で居るんだよ、閂(カンヌキ)」
「偶然ですよ」
閂は穏やかな笑みを浮かべたが、さてどうだかなと俺は視線を逸らした。
「俺、ついさっき彼女に振られて傷心だから一人にしてくんない」
「振られたんでなく振ったんでしょう。何もあんな風に言わなくても良いでしょうに」
後半をさらりと無視して閂が図々しく向かいに座った。ていうかいつからいたんだこのやろう。
「『面倒くさい』なんてそんな理由で別れ話を持ち出されたら、女の子は怒りますよ」
「嘘じゃない」
「でも本当でもない」
「・・・・・・」
俺は無言で閂を睨んだ。閂は何処吹く風とばかりに微笑む。
仕事の相棒を長くやってきたが閂が取り乱したり狼狽したりという様を見たことがない。そもそも俺は自分の童顔さを嫌と言うほど自覚していたので、効果は期待していなかったけれど。
「・・・百年の恋も冷めるようなサイッテーな別れ方した方が、女の復活は早いんだと。伯母さんの受け売りだけど」
「それで君が殴られたら損でしょう」
「べつに」
閂が困ったようなため息を吐く。
お待たせしました、と店員がやってきてカプチーノとブレンド、ベリーのタルト、あと冷えたおしぼりを持ってきた。注文した憶えはないが、おそらく閂が先に頼んでいたのだろう。抜け目のない男だから。
「ありがとう」と閂が店員に微笑むと、おかっぱの女の子はぽっと頬を赤らめた。だめだよお嬢さん、この男は顔は一級品だけど性質が悪いからね。
「冷やさないと」
「べつにいいって」
「心配されますよ」
誰に、とは訊かなかった。明日は仕事だ。久々に会うあの天才児が頬の腫れた俺を見て心配をするかといわれたら、NOと答える。少し前だったら。
今はすこし、事情が違うみたいだ。
おしぼりを受け取って頬に当てた。熱を持っていたそこに冷たさが気持ちいい。
ここまで思いっきり殴ったのだから彼女の手も腫れているんじゃないか、とぼんやり考える。お金かけたんだよと自慢していたネイルも落としていってしまった。
別れたいと考えたのも、面倒になったのも本当だ。そしてそれだけでないのも本当。しかしそれをいちいち説明する気にはなれなかったので、殴られても当然だ。これはただの自己満足。一応言っておくが。
「続木くんは馬鹿ですねぇ」
頬杖をついた閂がなんだか嬉しそうな顔で言う。俺は少なからずむっとして「どうせ俺はお前みたいに要領よくないよ」と毒づき、閂の目の前にあったケーキにフォークを突き立てて口に放り込んだ。
てっきり文句のひとつでも言ってくると思ったが、閂はにこにこ笑ったままだったので、元々俺用に頼んだのだと気付いてさらにむかっときた。
なんだこの男。完璧超人かっての。
「君のそういう馬鹿なところがかわいいと思いますよ」
「お前に褒められても嬉しくない」
上目線にしか見えないし。ぞわっとするし。言って俺はタルトを完食した。




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149と合同企画しているお話と同じ世界観で、居たらいいなーと思って勝手に書いたオリジナルキャラ。まあ自己満足です。


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| 小説 | 00:18 | comments(0) | trackbacks(0) |

君と僕のくだらない恋愛模様


クリスマス氏ね!
櫛田の背中に明朝体太字でそう書いてあるのが見えるようだった。
僕はがりがりとノートの端に櫛田の姿勢の悪い背中を模写する。大体書き上げたところで隣からにゅっと佐野木の手が伸びてきた。筆圧の濃い文字が、《←イルカ?》と僕の芸術品に矢印を伸ばした。《惜しい。》と僕は返す。イルカも哺乳類だものな。

昼のすぐ次の講義ともなれば、脱落者は多い。僕は大教室の少し上の方から次々と学生が夢の中に落ちていく様を見物する。教授は彼らには見向きもせず教科書を朗読していた。あ、またひとり。この声には何か催眠作用でもあるのだろうか。
そんな中で櫛田は頑なにルーズリーフにメモを取っているようだった。多分講義と関係はないだろう。呪いの手紙とかだったらどうしよう。
メリー苦しみますでシングルヘル。
櫛田は先刻の昼休みに地獄を見たのだった。

櫛田と同じサークルに可愛らしい後輩がひとりいる。昼休みに彼女と偶然食堂で居合わせた櫛田は、そのまま同席して二人でランチという快挙を成し遂げた。たぬきうどんが来るのを待っていた僕は内心で櫛田に拍手を送った。
二人は他愛もない雑談するうち、目前と迫ったクリスマスの話となった。「そういえばもうすぐクリスマスですね」プチトマトを箸で挟むのに苦心しながら後輩ちゃんは言った。途端に櫛田の背中が緊張したのを、少し離れたテーブルで佐野木のおかずをつまんでいた僕は見た。
「何か予定あるの?」
櫛田が訊いた。当然の流れだ。
後輩ちゃんは笑った。
それから15分、彼女の『背が高くてちょっと抜けてて甘いものが好きで弓道部所属で鼻はそんなに高くないけど目は切れ長』(彼女談)な彼氏のノロケ話が続いた。

櫛田は撃墜された。

クリスマス氏ね!と主張する櫛田の背中がいっそう丸まって、額がテーブルと密着した。睡眠学習中のほかの生徒に紛れたが、眠っているわけではないらしい。へこたれている。
背が低くて無駄に計算高くて辛党で漫研(と管弦)(後輩ちゃんは管弦だ)所属のオタクで鼻は高いけどたれ目のくせに分不相応な恋をするからそういう目にあうのだ、と僕は模写した櫛田の背中に《マダオ》と書き記した。まるでだめな男め。
鼻で笑ったその時、講義の終了を知らせる少し掠れたチャイムが鳴った。むくむくとゾンビたちが復活する。僕も櫛田もテキストを鞄に突っ込んだ。教授はいつの間にか居なくなっていた。ついでに隣に居た佐野木も。あいつは常に神出鬼没である。
片づけを終えた僕のすぐ傍の通路を櫛田が通ったがこちらに微塵も気付かないので、その脛あたりを蹴ってやった。
「だっ」
櫛田が空の紙コップを落とした。僕は席を立って櫛田の横に仁王立ちする。
「なにすんだよ・・・」
「気付けバカ」
ああどうもこんにちは、と櫛田が棒読みで言った。このマダオめ。
「櫛田、クリスマスの予定は?」
櫛田が顔を歪めて、『何でこのタイミングでこの話題をふってくるんだコイツ。ほんとKYだな』という顔をした。
「・・・べっつに」
「ふーん。誰か女の子を誘って飲みにでもいけばいいじゃないか」
「クリスマスに来る奴いないだろ」
俺なんかと、と櫛田が自嘲して遠くを見る。
「・・・ちなみに僕もクリスマスは予定なし組だ」
「だろうな。お前浮いた話聞かないし」
「・・・・・・」
僕は一瞬、こいつ張り倒してやろうかと思うのだが、脛にもう一発蹴りを入れる程度で我慢する。
「だっ」
力加減しなかったので櫛田が苦悶の表情を浮かべた。やわな男だな櫛田よ、それでは弓道部には勝てんぞ、と僕は歩き出す。
「な、んなんだよさっきからお前は。シングルなのは俺も一緒なんだぞ」
隣に追いついてきた櫛田が言う。
「僕は櫛田に呆れているよ」
「なんだ。俺が何かしたか」
あえて一つ挙げるなら、何もしないのが悪い。しかしそれを言っても櫛田は欠片を意味を汲み取りそうにないので黙っておくことにした。サークル費払ってないのは悪いと思ってるけどちょっと待ってくれと櫛田がもらす。知るか。僕は会計じゃないと言うと、櫛田は「そうだっけか」と上の空な返事をした。
人並みに沿って歩くうち、櫛田がそういえばと口を開く。
「前から思ってたけど、何でお前一人称が《僕》なんだ?」
「・・・変か」
「僕っ娘の流行は過ぎ去った」
三度目の蹴り。
「ぐあっ」
思わず硬直した櫛田を置いてさっさと歩く。
「ちょ、こら待て」
引き止められたからでなく僕は立ち止まり、振り返った。
「振られた櫛田のためにクリスマスは一緒にやけ酒に付き合ってやろう」
「は?いらん」
「そういうなマダオ」
「マダオ言うな、って。ちょ、おま。何で俺が振られたと知っている」
はん、と僕は笑った。
「それは僕が神だからだ」
冗談だ。正解は僕が恋する乙女だからである。嘆かわしいことだ。



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ぐだぐだな恋愛。ぐだぐだ。
あ、僕っ娘は漫研です。
二人とも見目は良くない。

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| 小説 | 01:08 | comments(0) | trackbacks(0) |

共犯少年≒村崎一色

(今度はグロ表現は…ぎりぎりない。かな。)

探偵少年≒村崎一色の続編。

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| 小説 | 01:53 | comments(0) | trackbacks(0) |

9秒間の祈り


9秒間の祈り


生きていたいから生きるわけではないのです
死にたくないから生きているのです


雑然とした部屋の中で
信号待ちの交差点で
深夜のコンビニエンスストアで

洗濯物を畳むのを止めて
メールを打つのを止めて
野良猫を撫でる手を止めて

僕は 祈る


神様、神様
いらっしゃるのですか
僕らを見守っておられるのですか

それが本当ならば
どうか
どうか
もう見ないでください


全てを見られているのに
賛辞も忠告も苦笑も世辞も罵倒もない
そんなのは、酷すぎる


僕は死を選ばず
呼吸をし
睡眠をとり
食事をし
笑い
悲しみ
怒り
人を助け
嘘を吐き
ときどき神に祈る


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朝にシャワー浴びてるときにふと思いついたのに忘れていて、家に帰ってから思い出して書き起こしてみれば全然違うものになっているという。よくある話ですね。
私にとっては小説とか詩とかスピード勝負な面があります。
ノってるうちに書いてしまえ!みたいな。

テストとレポート終わったら本館のほうも含め色々更新します。
…終わったら…!

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| | 17:19 | comments(0) | trackbacks(0) |

或る恋する猫の記録 その2

或る恋する猫の記録のつづき






前回までは私が、彼の白猫の恋を知ることとなった経緯、その二匹に立ちはだかる恋の障害なんてものを簡単にお話しした。今度はその後の彼らのことをお話しさせていただきたいと思う。
今回、新しい登場人物が現れるのだが、これは彼と彼女の恋物語であるから、その人物は彼らの恋に直接の関わりはない。名を明かす必要も無い。…彼らの恋物語に関しては。



さて、彼が日々愛しきお嬢さんの元に通いつめ、私は影ながらその恋を応援していた、そんなある日のことであった。

彼が、帰ってこなくなった。

彼は猫とは思えぬほど時間に正確なはずである。常日頃夕食の支度が始まる5時過ぎには家に戻ってきていた。それが、今日は6時半になっても帰宅していない。家族も心配を始めたので、私は彼を探すといって家を出た。目的地は既に決まっている。あの町外れのお屋敷だ。
夕陽で赤い町の中を小走りで抜けていく。途中で彼とすれ違うかもしれないので、周囲に視線を遣ることも忘れなかった。
赤く染まったお屋敷に着くと、私は柵をぎゅっと握り締めて中をうかがった。いつもの、定位置。窓の見えるその位置に白い毛皮を夕闇に染めた彼の背中が見えたので、私は名前を呼んだ。彼は反応しない。無視されているようだった。

私はお屋敷を見上げた。その窓に、お嬢さんの姿はなかった。
まさか、彼ともあろうものが。失恋でもしたのだろうか?

「きみ」
背後から男性の声。私はびくりとして柵から手を離し、振り返った。
立っていた男は痩せ型で、ひょろりと背が高い。しかし姿勢が悪くて髪がぼさぼさ、服も薄汚れているし何だか年齢が掴めない。
「きみ、あの猫の知り合い?」
声は意外な程若かった。
「…はい。家族です」
「そう」
男はゆっくり歩き出した。
「着いて来な」
そう言って。
私は一瞬呆気に取られ、勿論男に着いていくことはせずにいた。それに気付いた男が、振り返る。
「会わないの」
「だれに、ですか」
「撫子」
私は首を傾げる。聞いた事の無い名前だ。
しかしはっと思い当たって口に出した。
「この家の猫のお嬢さんのお知り合いですか?」
「家族、だ」
そう答えて少しだけ笑った。見えづらかった顔が見え、若くてそれなりに整っていることが分かる。
「行きましょう」
私は柵の中の彼へ声を掛けた。彼は庭からするりと抜け出して青年の後を追う。私も小走りで青年に追いついた。
青年はゆっくり歩いているのだが、足が長いのでスピードは速い。私はそれに合わせて歩きながら青年を観察した。
前髪の下から見える顔はやはり若い。大学生くらいかもしれない。服を汚していたものは絵の具だった。
「そこの猫が」
青年が唐突に口を開く。
「うちの庭に来ていることは気付いてた」
「彼は・・・その、撫子さんに恋をしていて」
「恋」
青年は可笑しそうに言った。私はむっとする。
「猫であろうと恋はします」
「ああ、いや。馬鹿にしたんじゃない」
青年はちらりとこちらを見る。
「きみは、面白いな」
まさか、褒めているつもりなのだろうか。人付き合いの、下手そうな人だ。

少し歩くと目的地に着いた。動物病院。
「入院、してるんですか」
「ワクチン注射を嫌がって、少し怪我をしただけ」
撫子さんは意外にお転婆なようだ。
足元の彼を抱き上げて動物病院に入り、受付を済ませた青年の後を追いかけて病院の奥に入っていく。診察室の上に、キャリーケースに入ったお嬢さんがいた。
彼が診察台の上に飛び乗った。青年は扉をあけ、中から足に包帯を巻いたお嬢さんがするりと出てきた。
二人が見つめあい、にゃあ、と声を掛け合う。ゆっくりと鼻先をすり合わせて、彼らは初めて間近で出会った。
「ウチの親は、撫子を外に出したがらない」
二人を見つめていると、いつの間にか隣に立っていた青年が言った。
「けれど、時々家にいれてあげるよ。昼はおれしかいないから」
「ありがとうございます」
「彼のためだ」
「彼の代わりに。私の家族ですから」
彼の恋は報われた。
私が笑うと、青年は少しの間考えるような表情をしたあと、私から目をそらして言った。
「聞きたいんだけど・・・名前は?」
「彼はビアンコです」
「イタリア語か。・・・いや、そうじゃなく」
「?」
私は青年を見上げる。
「きみの、名前」
「・・・へ」
「おれは大抵家に居るから、ときどき撫子に会いに来ると良い」


ここまで。ここまでにしておこう。
彼は恋を叶え、そして今後も育くんでいく。
まだまだ彼女のご両親の問題などがあるのだが、今は強力な支援者も居るのだ。
恋物語はこれからも続いていくだろう。
そしてこれとは別に新たな恋物語も生まれるのだが、しかし最初に話したとおりこれはかの恋人たちの物語であるからここでお話しする必要はないだろう。
そもそも、その物語において私は読者でも記録者でもないのだから、お話しすることはできないのである。

とりあえず、この恋物語に関しては一部完。そうしておく。





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一応完結です。ありがとうございました
ちなみに青年は画家さんです。ニートではない。

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| 小説 | 20:46 | comments(0) | trackbacks(0) |